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アルコール量と消化器疾患

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更新日:3月12日

アルコールの影響とリスクについて

アルコールは私たちの生活の中で身近な存在ですが、過剰な摂取は消化器疾患の発症リスクを高めます。今回は、アルコールの影響について、特に消化器系疾患との関係を中心に解説します。

1. アルコール摂取量の基準

 アルコール摂取量は「常習飲酒家」と「大酒家」に分類できます。常習飲酒家は一日平均エタノール60g以上を摂取する人、大酒家は一日平均エタノール100g以上を5日間以上継続して摂取する人を指します。

(エタノール算出式;例:5%ビール500ml:500*0.05*0.8 = 20g)

エタノール60gに相当するアルコールの量は、日本酒では15%のものを3合(約540ml)、ビールでは5%のものを1500ml、焼酎では25%のものを1.8合(約330ml)、ウイスキーでは43%のものをダブル3杯(約180ml)、ワインでは14%のものを4分の3本(約540ml)となります。

一方で、厚生労働省が推奨する適量の目安は、一日エタノール20gまでとされており、一週間で合計100gを超えないようにすることが推奨されています。この適量を超えた飲酒を継続すると、健康リスクが高まる可能性があるため注意が必要です。

2. アルコールと発がんリスク

 アルコールは体内で分解される過程でアセトアルデヒドという物質を生成します。このアセトアルデヒドは発がん物質として知られており、特にアルコール分解酵素の一つであるアセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の活性が低い人では、発がんリスクが大幅に上昇します。

ALDH2が活性型である欧米人はほぼ100%がアルコールを正常に分解できますが、日本人の30〜40%はALDH2がヘテロ欠損型であり、分解能力が低いとされています。そのため、このタイプの人は、食道がんや耳鼻科領域のがんの発症リスクが7〜8倍に増加するといわれています。女性の場合は、アルコールの適量を超えて飲酒を続けると胃・大腸・肝がんの発症リスクが高まります。

3. アルコールと肝臓の関係

 アルコールの長期摂取は肝臓に負担をかけ、肝機能障害を引き起こします。アルコール性肝障害の診断には、禁酒によって肝機能が回復すること、ウイルス性肝炎(B型・C型)の除外、自己免疫疾患(抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体陰性)の除外といった要素を確認する必要があります。これらの条件を満たす場合、アルコール性肝障害と診断されます。

4. アルコールを適量にするために

 アルコール摂取を控えめにすることは、消化器疾患の予防に重要です。特に「休肝日」を設けることや、自分のALDH2のタイプを把握することが、健康維持につながります。また、厚生労働省の推奨する一日20g、一週間100g以内の適量を守ることも、長期的な健康維持に役立ちます。

過剰な飲酒を避け、健康的な生活を心がけましょう!

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