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糖尿病・耐糖能障害

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更新日:3月12日


今回は「糖尿病」と「耐糖能障害」について、わかりやすく解説していきます。健康診断などで「血糖値が高め」と指摘された方など放っておくと糖尿病に進行する可能性もあるため、正しい知識を身につけておきましょう!

耐糖能とその障害とは?

「耐糖能(たいとうのう)」とは、摂取した糖分を適切に処理し、血糖値を正常に保つ能力のことを指します。健康な人は、食事をすると血糖値が上昇し、これに応じて膵臓のβ細胞からインスリンが分泌され、血糖値を適正範囲に維持します。

しかし、インスリンの分泌機能が低下したり、インスリンの効果が低下(=抵抗性が生じる)すると、血糖値が上がりやすくなります。この状態が「耐糖能障害」と呼ばれ、糖尿病発症の前段階として位置づけられています。


耐糖能障害は、以下の2つのタイプに分類されます。

  1. 空腹時血糖異常(IFG:Impaired Fasting Glucose)

    • 空腹時血糖値が100〜125 mg/dL(正常は99 mg/dL以下)

  2. 耐糖能異常(IGT:Impaired Glucose Tolerance)

    • 75g OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)の2時間後血糖値が140〜199 mg/dL(正常は139 mg/dL以下)

耐糖能障害は、糖尿病の発症リスクが高いだけでなく、動脈硬化による心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)の発症リスクも増加することが知られています

耐糖能障害・インスリン抵抗性の評価には、HOMA指数とCペプチドindexが

一般的に用いられます。

  • HOMA-R(HOMA-IR):インスリン抵抗性の指標

    • 計算式:空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン(μU/mL)÷405

    • 値が 1.6未満 で正常、3.0以上 でインスリン抵抗性が疑われます。

  • HOMA-β:膵β細胞のインスリン分泌能の指標

    • 計算式:空腹時インスリン(μU/mL)×360 ÷(空腹時血糖値(mg/dL)−63)

    • 値が 40%以上 で正常、20%以下 で膵β細胞機能低下が疑われます。

  • Cペプチドindex:インスリン皮下注射療法の適応を判断する指標

    • 計算式:空腹時Cペプチド(ng/mL)÷空腹時血糖値(mg/dL)×100

    • 値が 1.2以上 でインスリン分泌が保たれ、内服療法が有効と考えられます。

    • 値が 0.8以下 でインスリン分泌低下が顕著であり、インスリン補充療法の適応を検討すべきとされます。。

糖尿病とは?

糖尿病とは、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。糖尿病の診断基準には、以下のようなものがあります。

  • 空腹時血糖値が126 mg/dL以上

  • 75g OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)2時間後血糖値が200 mg/dL以上

  • 随時血糖値が200 mg/dL以上

  • **HbA1c(ヘモグロビンA1c)**が6.5%以上

これらの基準を満たす場合、糖尿病と診断されます。

耐糖能障害・糖尿病の内服治療の種類は?

耐糖能障害の段階で適切な内服治療を行うことで、糖尿病の発症を防ぐことができます。具体的には以下の薬剤が用いられます。

  1. ビグアナイド系薬(メトホルミン):肝臓での糖新生を抑え、筋肉での糖利用を促進すします。

  2. チアゾリジン系薬(ピオグリタゾン):インスリン感受性を改善し、糖の取り込みを促進します。

  3. DPP-4阻害薬:インスリン分泌を促すインクレチンの分解を抑制します。

  4. SGLT2阻害薬:尿中への糖排泄を促し、血糖や摂取カロリを低下させます。

  5. α-グルコシダーゼ阻害薬:糖の吸収を遅らせ、食後の血糖上昇を緩徐にします。

  6. GLP-1受容体作動薬:インスリン分泌を促し、胃内容物滞留および食欲を抑制します。

耐糖能障害の治療には、個々の病態に応じた薬剤の選択が重要です。医師と相談しながら適切な治療を進めましょう。

まとめ

耐糖能障害は、糖尿病の予備軍とも言える状態ですが、生活習慣を見直すことで進行を防ぐことが可能です。すでに血糖値が高く糖尿病の診断基準にある方は食事運動など生活習慣の見直しと同時に内服治療など、早めに対策を始めることが重要です。



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