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脂肪肝の変遷 part2

  • m1492122
  • 1月3日
  • 読了時間: 4分

どれだけ改善すれば肝臓が良くなるの?

(数字で示す目安)

研究で繰り返し示されている「実用的な目標」を下に示します。これは多くの臨床ガイドラインや主要論文に基づく目安です。具体的な効果は個人差がありますが、目安として役立ちます。


変化(目標)

期待される肝臓への効果(概略)

体重減少 5%

肝脂肪量(脂肪沈着)の減少が期待される(軽度改善)。

体重減少 7–10%

肝炎(炎症)の改善。多くの人でNASHの改善が見られる。

体重減少 ≥10%

NASHの高率な解消、線維化の改善(一部で)を認めることがある。

※ 重要:体重だけでなく「腹囲」「中性脂肪」「HbA1c(血糖)」の改善も脂肪性肝疾患に有効なため、各因子の複合的な改善が有効です。


腹囲や内臓脂肪が減るとどれくらい肝臓に効くのか

(実務的ポイント)

  • 臨床研究では、内臓脂肪面積(VFA)の減少は脂肪肝の改善と相関し、VFAに対する性差・体格差を考慮したカットオフ値が報告されています(アジア人など人種差あり)。日本では特定健康診査などでVFAの代替に腹囲を用いています。腹囲の改善は肝臓の改善に寄与します。

  • 「腹囲の減少」は視覚的で患者さんにも実感しやすく、継続行動のモチベーションになります。腹囲(ウエスト)は家庭で簡単に測れるため、経過観察に適しています。

検査(クリニックで何を測る?)と「非侵襲的評価」

  • 血液:GOT, GPT, γ-GT, 中性脂肪, HDL/LDL, HbA1c, 空腹時血糖、肝炎ウイルスなど。

  • スコア:FIB-4などの血液スコアで線維化リスクをスクリーニングします(簡便)。

  • 病院での肝疾患専門外来を考慮する際はELFスコア(クリニック未提供)も有用です。

  • 非侵襲的画像検査:クリニックでは腹部エコー検査が主体です。CT/MRI検査での脂肪肝や他の肝疾患の評価は、病院での専門診療となります。近年のガイドラインは、高リスク者(糖尿病・肥満・肝酵素などの異常高値)には、非侵襲的画像検査を推奨しています。

具体的な治療(患者さん向け短いまとめ)

  1. まず生活改善(基本)

    • 目標:体重5%以上減(できれば7〜10%)+腹囲減少。食事(総カロリーの見直し、間食の見直し(空腹時間の確保)、糖質/脂質の質)と運動(有酸素+筋トレ)。

    • 肝線維化が診断されている際は、体重10%以上の減量が推奨されます。

  2. 薬の選択

    • 糖尿病や肥満の治療薬(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬など)は、体重や代謝を改善することで肝臓にも好影響を示す研究が増えています。適応・副作用の観点で専門医と相談してください。ただし、同薬剤の脂肪肝への単独治療に対して、その効果に対するエビデンスは確立していません。

  3. アルコール

    • 飲酒がある場合は量を減らす、できれば断酒(特にアルコールが原因の場合)。アルコール性肝疾患との合併は肝障害を増悪させます。

  4. 合併疾患の管理

    • 糖尿病・高血圧・脂質異常症などの厳格な管理が必要(心血管リスク低下のためにも重要)。

家庭でできるセルフチェックと目標

(すぐ実行できること)

  • 毎週や毎月同じ位置(へその高さ)で腹囲を測る。減っていれば良い兆候。

  • 体重は三食を摂った入浴前など軽装で測る。5〜10%の減少を中長期目標に。

  • 食後のだるさ・強い疲労感がある場合は食後高血糖の可能性があるため受診を。

  • 定期検査(肝酵素、脂質、HbA1c)を受け、医師と数値の変化を確認する。

よくある質問(Q&A)

Q. 「GPTが正常なのに脂肪肝と言われました」

A. GPTだけで安心しないでください。画像や線維化マーカーが重要です。GPT正常でも肝線維化が進む場合があります。

Q. 「腹囲を5cm減らせば肝疾患は治る?」

A. 個人差はありますが、腹囲や内臓脂肪を減らすことは肝臓の脂肪科化・炎症の改善と強く関連します。大切なのは多面的な評価法を採用することです。腹囲減少に加え、体重減少が伴うか否か、更に血液検査での血糖、各脂質や肝機能の数値の改善が伴えば肝疾患が改善している証明となるでしょう。

まとめ(患者さんへのメッセージ)

 脂肪肝は「放っておくと進行することがある」一方で、生活習慣の改善で確実に良くなることがわかっています。体重(特に腹囲・内臓脂肪)・血糖・中性脂肪の改善は肝臓の改善に直結します。まずはかかりつけ医と一緒に、自分に合った「現実的で続けられる」目標を設定しましょう。

参考文献

(患者向けに信頼性のあるガイドライン・代表的論文・報告を記載)

  1. AASLD Practice Guidance on clinical assessment and management of NAFLD.

    DOI: 10.1097/HEP.0000000000000323

  2. EASL–EASD–EASO Clinical Practice Guidelines on MASLD (management). 2024.

    DOI: 10.1016/j.jhep.2024.04.031

  3. Vilar-Gómez E. et al., “Weight Loss Through Lifestyle Modification …” (histologic improvement with 7–10% and ≥10% weight loss). 2015.

    DOI: 10.1053/j.gastro.2015.10.040

  4. 内臓脂肪(VFA)とNAFLD:性差・人種差を考慮したカットオフに関する解析。DOI10.14218/JCTH.2021.00379

  5. ALT単独の限界や非侵襲的検査の重要性に関する報告。PMC11299156

 
 
 

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